
京都市北区にある「上賀茂神社(かみがもじんじゃ)」は、正式名称を「賀茂別雷神社(かもわけいかづちじんじゃ)」といい、飛鳥時代の678年(天武天皇7年)に創建されたと伝わる京都最古の神社の一つです。
世界遺産「古都京都の文化財」にも登録されており、豊かな自然の中に数多くの国宝や重要文化財が点在することで知られます。
この記事では、上賀茂神社の桜の魅力や見どころ、アクセス情報、そしてSNS映えスポットや周辺の楽しみ方などを詳しくご紹介します。
上賀茂神社は、都が平安京に遷る以前から存在していたとされる、由緒正しい神社です。御祭神は賀茂別雷大神(かもわけいかづちのおおかみ)で、朝廷や貴族から長い間、大切にされてきました。
境内には、一の鳥居から二の鳥居へと続く参道があり、その沿道に植えられた桜が春になると美しい花を咲かせます。同じ道を平安時代の人々が歩いていたと考えるとロマンがありますね。
上賀茂神社は賀茂氏の祖先を祀る神社として皇城鎮護の役割を果たし、平安時代には国家や貴族の庇護を受けてきました。毎年5月15日に行われる葵祭(賀茂祭)は、下鴨神社とともに京都三大祭りの一つとして有名です。
ユネスコの世界遺産「古都京都の文化財」に登録されているだけでなく、国宝2棟、重要文化財41棟が境内に点在。春の桜と相まって、長い年月を経て培われた“和の心”を存分に味わえるのが、この神社ならではの大きな魅力です。
上賀茂神社には、斎王桜や御所桜、馬出しの桜など多彩な桜が植えられ、3月下旬~4月上旬にかけて見頃を迎えます。なかでも樹齢150年といわれる斎王桜の存在感は圧巻で、悠久の歴史を感じさせる優雅な花姿が参拝客を魅了。
さらに、紅八重枝垂れ桜の華やかなピンク色は、境内の伝統的な社殿と相まって絵画のような春景色を演出します。
また、ならの小川沿いには桜が点在し、水面に映る花影が一層美しさを引き立てるため、散策しながら自然の彩りを満喫できるのもポイント。細殿前にある円錐形の「立砂(たてずな)」とのコラボレーションも必見です。
一の鳥居から二の鳥居までの参道沿いに咲き誇る桜は、まるで“桜のトンネル”をくぐるような幻想的な雰囲気を醸し出します。足元には白い玉砂利が敷き詰められ、奥には神社特有の流造(ながれづくり)の社殿が見え隠れ。こうしたシンプルで厳かな神社建築と、春の花々が作り出すカラフルな彩りが見事なコントラストを生み、まさに“和の美”を体感できる空間となっています。
上賀茂神社の桜は例年3月下旬から開花が始まり、4月上旬にかけて満開を迎えます。品種によって多少の前後はありますが、特に3月末から4月初頭にかけては花見客が最も多い時期にあたるため、週末や祭事のある時期は大変混雑します。
早朝や平日を狙うと、人混みを避けながら静かに桜を楽しむことができるでしょう。
上賀茂神社では、4月には「賀茂曲水宴」が行われます。桜の時期が終わっている可能性もありますが、この前後は準備や観覧客で境内が混雑することも。祭りを見学して京都の伝統文化を満喫するのもよいですが、桜の写真をじっくり撮りたい場合は行事の日程を確認し、早めに訪れるか、行事の日を外すのが得策です。
細殿前の円錐形の砂山「立砂」は、神山を象徴する重要な祭祀オブジェ。春の桜を背景に写せば、神聖な雰囲気と花の柔らかさが融合した印象的な一枚が完成します。
昭和35年に作庭された庭園で、「曲水の宴」を再現できる雅な空間。桜の時期は花が水面に映り込み、風にゆれる姿が優雅。人が少ないタイミングを狙うと、写真映え間違いなしです。
境内を流れる清流のほとりに咲く桜は、しっとりとした風情が感じられ、インスタ映えするポイントがたくさん。水面に映る花影も美しく、晴天時はもちろん雨の日のしっとり感もまた魅力的です。
参道両脇に咲き誇る桜のトンネル風景は、この神社ならでは。朝の時間帯に訪れると光が柔らかく、桜の色彩がいっそう映える写真を狙えます。
桜の美しさを眺めるだけでなく、国宝に指定された本殿や細殿、立砂など、神社の歴史や文化的意義にも目を向けてみましょう。飛鳥・平安の時代から連綿と続く神事の空気を感じながら桜を鑑賞すれば、より深い“和の世界”を体感できます。参拝を済ませた後、渉渓園でゆっくり過ごす時間もおすすめ。川のせせらぎと桜の組み合わせは、非日常を体験させてくれます。
**公共交通機関:**京都駅から市バス4系統に乗車し、「上賀茂神社前」下車すぐ
地下鉄「北山駅」から徒歩約15分、またはバス利用
**車:**JR京都駅から約30分。参拝者用駐車場あり(30分200円、繁忙期は1回1,000円になることも)桜のシーズンは特に混雑が予想されるため、公共交通機関の利用がおすすめです。
**拝観料:**境内は無料、渉渓園も無料で開放。時期によるが、本殿特別参拝は500円
拝観時間:
・境内 6:00~22:00(早朝~夜遅くまで散策可能)
・渉渓園: 9:00~16:00
**駐車場:**30分ごとに200円、桜や葵祭の時期など繁忙日には1回1,000円になる場合あり。
※詳細は公式サイトをご確認ください。
拝観そのものに料金はかからないので、思い立ったときにふらっと立ち寄れるのが嬉しいですね。
上賀茂神社へ訪れたら、是非あわせて巡りたいのが「下鴨神社(賀茂御祖神社)」です。上賀茂・下鴨神社は賀茂一族の信仰を今に伝えるペアの神社で、どちらも世界遺産に登録されています。鴨川沿いや北山エリアを散策しながら両社を回るのも、京都ならではの風情を味わえるコースです。
境内や周辺には和菓子店や茶屋が点在し、桜餅や抹茶スイーツなど季節限定のメニューを楽しめるところもあります。参拝の合間や後に少し立ち寄って、京都らしい甘味や軽食を楽しむのもおすすめ。地元の食材を活かした料理や特産品、古都ならではの雑貨を探せば、旅の思い出作りにもぴったりです。
上賀茂神社は、飛鳥時代に創建され、御祭神として賀茂別雷大神を祀る京都最古の神社の一つ。平安時代以来、皇室や貴族からの崇敬を集め、葵祭をはじめとする重要な行事が行われる“特別な場所”として歴史を歩んできました。
そして春になると、境内や参道に咲き誇る桜が、神社建築の厳かさと相まって古都らしい雅(みやび)な風景を演出してくれます。一年で限られたこの瞬間にだけ出会える“古都の息吹”が、あなたを特別な春の世界へ誘ってくれることでしょう。