
そうめんの旅へようこそ。
小麦、塩、水、シンプルな材料で産地と職人の個性が浮き彫りにでる夏の風物詩、手延べ和麺=「そうめん」。1.3ミリ未満の細さにコシ、舌触り、弾力性の強さと風味、喉越しのバランス、食感の良さを追い求めた職人の魂と技術、そして科学的技術の集大成。揖保乃糸、小豆島、三輪、五島、半田など、日本各地の名品のそれぞれの良さを「そうめん食べ比べ」で、あなたの“推しを選んでみては?薬味やたれに変化をつけると、味わいもさらにUPし、未知のごちそうへと変わる、一見同じに見える白い麺、驚きや違いの発見。その瞬間を楽しむ醍醐味。
原材料: 小麦粉・ 食塩水・ 食用油(ごま油・綿実油など)※手延べ用
小麦粉に塩水を加え、力強くこねる。
→粘りが出たら、時間をかけて「熟成(ねかし)」へ。
こねた生地はしばらく寝かせ、グルテンの熟成を待ちます。それは誰も何もしない時間。生産効率や合理性では、本当に美味しい和麺は作れないのです。
段階的に細くしていく。棒状にまとめた生地を、二本の棒に引っかけて引き伸ばし、寝かせ、また引き伸ばしを 1日〜2日かけて10数回繰り返します。(ここで「コシ」が決まる)
油をほんのり塗ることで乾燥を防ぎ、繊維のように麺が均一に延びていきます。
最終的に長さ150〜200cmほどに伸びた麺を、竹の棒にかけて自然乾燥または 温風乾燥。太陽の光をたっぷり浴びた自然乾燥ものは風味が豊かに。時間や天候に左右されず安定する温風乾燥も現代では主流。製造工場は、品質管理の為に空調を一定の温度・湿度を維持されていますが、それでも外の天候に微妙に影響を受けます。ある手延べ工程は適した季節しか生産を行わないという徹底したやり方も。。
乾燥した麺は、食べやすい長さ(通常18cm程度)にカット。太さ・色味・質感などを職人が目視でチェックし、品質が認められたものだけが「上級品」「特級」として出荷されます。中には出来上がった麺がすぐに商品にせず1年以上も寝かせる物もあります。
そうめんは「たった数分でゆでて食べる手軽な麺」ではあるものの、実は「手間と技術の結晶」でもあります。
そうめんの世界は、ただの“夏の定番”に収まりきれない奥深さがあることをご存じでしょうか?
今、密かに人気を集めているのが「そうめんの食べ比べ」イベント。そうめんは、全国各地にそれぞれ異なる風味と個性を持つブランドが存在し、それらを一堂に味わえる機会はなかなか貴重です。今回は、日本の代表的なそうめんブランドの魅力を紹介しつつ、食べ比べイベントの楽しみ方をご案内します。
日本には数多くのそうめんブランドがあります。中でも特に有名なのは、「揖保乃糸(いぼのいと)」「三輪(みわ)そうめん」「小豆島そうめん」「五島(ごとう)手延べそうめん」など。それぞれが長い歴史と独自の製法を持ち、味も食感も異なります。
全国的な知名度を誇るブランド。手延べ製法により、なめらかな喉ごしともちもちしたコシを実現しています。等級も細かく分かれており、特級品「三神」は予約しないと手に入らないほどの人気。
日本最古のそうめんとも言われるブランド。歴史は千三百年以上。細さと繊細な食感に加え、しっかりした小麦の香りが特徴で、つけだれにもよく合います。
瀬戸内の温暖な気候と、オリーブ油を使った独自の手延べ技法で知られる逸品。もっちり感とつるつるの喉ごしが両立し、幅広い世代にファンが多いのも納得です。
他の産地とは異なり、椿油を使って手延べされるのが特徴。しっかりとしたコシと、ほんのり香ばしい風味が後を引きます。お吸い物に入れても美味。
そうめんの食べ比べは、見た目こそ似ていても、食べた瞬間にその違いがはっきりと感じられるのが醍醐味です。実際に食べ比べてみると、まるでワインやチーズのテイスティングのように、各地の気候や文化が麺に表れていることに驚かされます。
その中でも「三輪素麺」で有名な奈良県桜井市に、幻のそうめんと呼ばれる一品があります。
それが「白髪そうめん(または極細そうめん)」。
特徴:直径 0.3mm台という超極細、20工程以上の「手延べ」と長時間熟成、茹で時間はなんと約30秒。白髪そうめんのような隠れた逸品は、まさに“そうめんの頂点”。
またもう一つ、兵庫県たつの市の小神そうめん、ある程度細く延ばす事は麺自体の滑らかが増しますが、当たり前の話ですが地球には引力があります。
水分を含んだ麺は乾燥時に、少し下の方が太く、上が細くなるのです。必要なのは麺自体の均質性です。そこに究極にこだわり、磨きをします。乾燥させカットした麺同士をゆっくり揺らしながら摩擦させる工程で小神は麺の滑らかさを極限まで高める為に、この工程に12時間掛けています。それゆえに他のそうめんとはまるで違うのど越し、つるつる感。もし出会えたら、それは幸運。
ふだん何気なく食べているそうめんにも、深い歴史と技が詰まっています。
自分の“推しそうめん”を見つける楽しさも。つけだれや薬味も定番から、ゴマだれ、生姜じょうゆ、梅肉入りなど、坦々瘋、最近はマヨネーズ、ニンニク、ポン酢合わせなど、独自のモノも多くあります。組み合わせ次第で無限の楽しみ方があります。
こうしたそうめん食べ比べで旅をしてみると、ただ食べるだけでなく、生産者の話を聞いたり、手延べ体験ができたりと、地域の人との交流も出来たりするのも大きな魅力です。ひとつひとつにストーリーがあるので、味わいもひとしおです。
また、販売コーナーではその場で気に入ったそうめんを購入できるため、お土産や贈答用にもぴったり。「家に帰っても旅の続きを味わえる」そんなお得感も人気の理由です。
そうめんは“涼味”の旅そのもの、そうめんの食べ比べは、まさに味覚と文化を旅するような体験です。ただの軽食や家庭料理と思っていたものが、実は各地の技術と誇りが詰まった“食の工芸品”であることに気づかされます。
家族や友人と楽しむ夏のレジャーとして人気の『流しそうめん』。
竹を使った本格派から、家庭用のコンパクトな電動タイプまで、今ではさまざまなスタイルがあります。最近では、そうめん流しやオープンテラスでの試食会など、体験型の食べ比べイベントも人気です。例えば、山間の清流を活かした「流しそうめん」形式で味わえる企画では、自然の中で風を感じながら、清涼感あふれる時間を過ごすことができます。
中には、地域の伝統芸能や太鼓演奏をBGMに、そうめんを楽しむという贅沢な催しも。そうめんを“味わう”だけでなく、“感じる”ことで、まるで旅に出たような感覚になれるのです。
流れてくるそうめんをキャッチするというシンプルな遊びが定番になっています。空飛ぶ流しそうめん、スイッチを押すとそうめんや口直し、最後にデザートが出てくるなど様々な仕掛けで進歩を続けています。
この夏、「そうめんの食べ比べ」で、日本の奥深い涼味文化に触れてみませんか?いつもの一口が、特別な一杯になるかもしれません。
日本の暑い夏を少しでも涼しく過ごす知恵が活かされた文化の一つです。